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2016年3月28日更新
近年の世界規模の政治?経済の変動と、急速な情報伝達の変容により、人間?社会?文化のありようは、一方で多様化?個別化し、他方で画一化?規格化され、 従来の人間理解?社会把握?文化構造の再考と、それにともなう近代以降の学問分野の相互横断化、さらには新分野創成の必要に迫られている。そのような状況をふまえ、比較社会文化学専攻は、まずもって人間文化及び社会に対する従来の学問分野の「専門的知見」を十分に獲得し、そのうえに立って、グローバルに変容する現代社会を思想面?文化面でリードし、多文化の相互理解に立脚した新しい国際協力に寄与しうる高度に「学際的」で「総合的」かつ「国際的」な研究を 推進する女性の人材の養成を目標とする。すでにアジアからの留学生の教育研究に大きな実績をあげてきたが、更に欧米を含む国際的な指導?研究体制を強化することにより、アジアからの/アジアへの発信をする拠点を築く。
そのため本専攻は、博士前期課程における9コースを、隣接分野でくくった「4領域」に再編成し、博士前期課程からの一貫した教育指導を保持して高度の総合研究をおこなうに必要な専門知識の深化を図るとともに、領域横断的な創造的能力の涵養を達成する。加えて、専門領域を隔てていた教育体制上の壁をなくすべく、複数の関連分野の教員が指導する「副指導教員体制」、及び2005年度より新設した「副専攻制度」(目下は「男女共同参画リソース研究」と「文化マネジメント研究」)の実施によって、教育組織の面においても、学生の学問的視野の拡大と、自立的?自己選択的な研究態度の育成をめざす。
また従来の人文?社会系の博士号授与の体制から脱却し、早期学位取得を希望する学生への教育のスキームを徹底するとともに、海外提携大学との協定や、本学や提携機関などで開催される国際会議を活用して、国際的な教育機会を幅広く与える。
本専攻には国際日本学領域、言語文化論領域、比較社会論領域、表象芸術論領域の4領域を設ける。
国際日本学領域は、本学の戦略的研究?教育領域として位置づけられており、国際的に多様化する大学院教育の現状に対応して、国際的視野のなかで日本研究を進め、文学?言語学?歴史学?考古学?思想?文化?身体論の総合学としての日本学を世界に発信する人材を養成することにより、日本研究における世界の教育拠点となることを目標としている。
言語文化論領域は、中国語圏?英語圏?仏語圏?独語圏の文学 文化表象及び批評理論の追求と、言語学及び日本語教育を含めた言語教育論の研究?教育を推し 進め、各国文学?言語の専門的知識を深めつつ、それらを横断する研究視点を育成し、言語を介した現代の文化?批評の機能を、国際協力の面からも積極的に開発?提言する人材の養成につとめる。
比較社会論領域は、哲学思想?歴史からスポーツまでを対象に、日本?アジア?欧米?イスラムの諸地域を相互に比較横断する研究?教育を推し進め、過去の思想?歴史を踏まえつつ、現代社会が要請する新しい人文科学の創成に寄与し、平等と自由の理念の実現を希求する人材の育成につとめる。
表象芸術論領域は、芸術?美術?服飾?文化論?舞踊?音楽?博物館学を中心に、文化表象?表現を多方面から専門的かつ横断的に追求する研究?教育を推し進め、とくに舞踊?音楽においては実践と理論の生産的融合を図りつつ、文化を人間理解?国際協力の強力な媒介として提言する人材を育成する。
人間発達科学専攻は、社会的かつ個人的存在としての人間とその発達過程を対象に、教育科学、心理学、発達臨床心理学、社会学、保育学、教育支援等をベースとして、専門的かつ学際的にアプローチし、高度な女性研究者や専門職業人を育成する。
博士後期課程は、教育科学領域、心理学領域、発達臨床心理学領域、社会学?社会政策領域、保育?児童学領域から構成されている。これら5領域のもと、人間の心の発達と社会環境の発達に関わる幅広い学問領域を結集して、広い視野から学際的?総合的に教育研究を行う。また、人間発達に関する個々の領域での専門性を高め、人間発達分野での社会的必要性の高い諸問題の解決を図る研究能力と、指導的な高度専門職業人としての能力を身につけた女性研究者及び人材を育成する。
具体的には、次のような人材の育成を目指す。社会環境、生活環境と人間発達とのダイナミクスを理解する女性人材、すなわち、国際公務員や高度教育?研究機関の研究員のほか、教育科学、心理学、社会学等を専門として高度な研究?教育能力を身につけた大学教員、臨床心理士や社会調査士等の人材を養成する指導者、保育?児童学の知識と方法論を身につけた育児?教育アドバイザー等のリーダー、そして政策能力?実践能力を高めた教職員指導者などである。
教育科学領域では、人間の生涯にわたる発達の過程を多様な方法論により科学的に探求するとともに、諸教育問題の解決に資する実践的な研究を行う。
心理学領域では、人間の心理メカニズムを、脳を核として、発達という時間軸、社会という空間軸の中で、多次元的?総合的に検討し理解する人材を育成する。
発達臨床心理学領域では、発達臨床心理学の教育及び研究を行う。臨床心理学を柱として、家庭、教育、医療、福祉、司法、産業等の様々な場における心理臨床的、発達的問題について専門的に対処する力を養成するとともに、発達臨床心理学の研究を行う高度な研究能力を養う。
社会学?社会政策領域では、社会学の基礎的?応用的研究(特に社会学理論、社会意識、家族、コミュニケーション、社会階層)および社会学?経済学?法学等の観点からの社会政策(社会保障、社会福祉、医療?介護政策等)の研究を行う。
保育?児童学領域では、主に、保育?子育て等の現場で生じている様々な問題を、個々人の発達や心理、(現)場における相互作用のあり方やそれを取り巻く社会や歴史的経緯と関わらせて多角的に理解する資質を養う。また、それとともに現場に即した分析や対応策の検討を目指す。